哲学、思想に関する本で僕が面白いと思ったものを挙げる。
そのため点数は全て高い。 題名のみの本は未読であるが、期待値が高い作品として載せている。 読んでつまらなかったら何も言わずに消す予定だ。 だからこの記事に関して言えば不定期に更新する。 ・理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 ★4 高橋 昌一郎(著) 僕が不完全性定理を知るきっかけとなった本。 題名どおり、理性(理解、意味、認識、決定などと考えてもらいたい)の限界についての考えを述べている。 ディベート形式で展開されとても読みやすく、誰でも読める代物だと思う。 そういった点で素晴らしい本だと認定しよう。 これを読めば僕が最近取り組んでいることの概要は理解できるはず。 ・ゲーデルは何を証明したか―数学から超数学へ ★5 E. ナーゲル (著), J.R. ニューマン (著), Ernest Nagel (原著), James Newman (原著), 林 一 (翻訳) 不完全性定理の解説書。 苦労せず読めるレベルだが、説明不足だとは感じない。 とてもスマートに仕上げた素晴らしい不完全性定理本だと思う。 これを読めば不完全性定理を理解できるだろうし、その理解は不完全性定理という言葉に収まらず新たな驚きを与えてくれるはずである。 ・ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 ★5 ダグラス・R. ホフスタッター (著), Douglas R. Hofstadter (原著), 野崎 昭弘 (翻訳), 柳瀬 尚紀 (翻訳), はやし はじめ (翻訳) この本を一言で説明することはできない。(「この本を一言で説明することはできない」という言明は「この本を一言で説明することはできない」という言明にも適用される) 根本的な問題は「私とは何か」「矛盾とは何か」といった哲学的問題、その問題に対する一つの可能性(著者の考え)を示している。 指針としては抽象理論に不完全性定理を使い、それを脳、AIなどの一般化に繋げている。(終盤は意思の在り方を主軸に物理法則などの根本的規制も関わってくる) エッシャー、バッハの作品は理解へのメタファーとして使用される。 僕の感想は、とても巧くまとめこんでいるな、だ。それは決して文章のまとめる力を指してるわけではなく、内容そのものが根本的問題を巧く総括しているように見える。 名著である。 ・メタマジック・ゲーム―科学と芸術のジグソーパズル ダグラス・R. ホフスタッター (著), Douglas R. Hofstadter (原著), 竹内 郁雄 (翻訳), 片桐 恭弘 (翻訳), 斉藤 康己 (翻訳) ・エッシャーの宇宙 ブルーノ・エルンスト (著), 坂根 厳夫 (翻訳) ・無限と連続―現代数学の展望 ★4 遠山 啓 (著) 他に比べれば数学の要素が高いのでこの系統に入れるべきか悩んだが、狙いはこの類の本であるのは間違いない。 内容はカントールの集合論から非ユークリッド幾何学までを表題として流している。 だが、この本はそういった理論を一つ一つ明確に説明する本ではない。それらの理論が現れる必要性が本来のテーマである。 要するにそれは理論自体とは、理解とは、意味とは、認識とは何かについてという根本的な話だということだ。 僕は話のテンポが好きじゃなかった。1952年の作品だということが理由だと思われる。 とにかく、狙いがとても良い書である。 ・カントの自我論 ★5 中島 義道 (著) 純粋理性批判を自我というテーマを元に一人で読み切ってもらおうとした本だ。 しょうじき難しい。 だからこそと言うべきなのか、一冊で出来る限りまとめ切っている。 僕が何度も読み返したのはそういった理由があってこそなのだと思う。 ・トランスクリティーク――カントとマルクス 柄谷 行人 (著) ・ハイデガー=存在神秘の哲学 ★4 古東 哲明 (著) ハイデガーの思想に触れさせようとする本だ。 著者のこの本に対する熱い思いが伝わってくるような書き方で、読みやすい。 しかし、この本でハイデガーの思想に触れるというのは難しい。 ただ、ハイデガーの思想に触れるきっかけを作ることは十分可能だ。 ・今こそアーレントを読み直す ★5 仲正 昌樹 (著) アーレントは政治哲学者である。 彼女の思想は政治に転換させやすいから政治哲学者と呼ばれているのだと思う。 僅かに皮肉を入れた率直な文が多く苦笑させられたし、読みやすい。 アーレントは人間の在り方を愚直なまでに考え抜いている、と感じた。 その在り方の一つの結論の中に公共性という考え方が主軸として出てくるのだが、それがとても興味深く、もっと知りたくなった。 ・意識の探求―神経科学からのアプローチ (上)(下) クリストフ・コッホ (著), 土谷 尚嗣 (翻訳), 金井 良太 (翻訳) ・不思議の国のアリス ★5 ルイス キャロル (著), Lewis Carroll (原著), 柳瀬 尚紀 (翻訳) ディズニーの代表的作品ともなったアリスの原作。 あまりに有名なため幾つもの日本語訳が出されているが、僕はGEBの訳者の一人である柳瀬氏の翻訳本を手にした。 子供向けという印象が強いであろう作品であるが、決してそんなわけではない。 確かに、アドベンチャーとしても出来が良いからワクワクさせてくれる。 だが、それだけではこれほど有名にならない。 この作品の真骨頂は、そういった表題に隠れて何度となく出てくる言葉遊びや論理的悪戯の存在である。 それに気づけば、不思議の国のアリスという作品に感銘を覚えることは間違いないだろう。
by xtu_ltu9981
| 2010-04-08 00:15
| 本
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